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日本流体力学会設立50周年を記念して、各分野の専門家が、専門の立場から、さまざまな流体現象を易しく解説する連載シリーズです。

流体力学への招待-日常生活の中の流体現象―について 

私たちの生活の中では、さまざまな流体現象が存在します。その多くは、流体現象とは気がつきません。例えば、音です。私たちは、音声でコミュニケーションをし、音楽を楽しみます。自然界にも、さまざまな音があります。音を伝える空気中の粗密波は、流体現象に他なりません。「燃焼」も生活に欠かせない現象ですが、流体現象と密接に関係しています。生物は、さまざまな面で流体現象と関係しています。鳥や昆虫は羽を動かすことで飛行します。魚は流線形をして、高速で水中を泳ぐことができます。私たちの体の中で行われている血液や細胞内部の循環も流体現象です。のりものも流体現象と深く関係しています。新幹線の先端部がとがっているのは、トンネルを通過するときに衝撃波が発生するのを抑えるために必要なのです。飛行機は、流体の性質を巧みに利用して、空中を飛行します。自動車の設計には、空気抵抗をできるだけ少なくするための工夫が欠かせません。

このように考えると流体現象は生活のあらゆる面に及ぶことが分かります。そこで、日本流体力学会設立50周年を記念して、各分野の専門家が、専門の立場から、さまざまな流体現象を易しく解説する連載シリーズを計画しました。ここでは、日常生活に関係する流体現象のさまざまな側面をとりあげ、その分野の専門家が易しく解説します。流体力学が、いかに、生活と関連が深い学問分野であることが再認識されるでしょう。流体力学の研究者にとっても、分野横断的な記事は、流体力学全体の俯瞰する機会になると思います。

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