相木秀則(海洋研究開発機構地球環境研究センターポスドク研究員)
H. Aiki and T. Yamagata, A numerical study on the successive formation of Meddy-like lenses, Journal of Geophysical Research - Oceans, Vol. 109, C06020 (2004)
本論文は,海洋物理学で長らく注目を集めてきたMeddy (Mediterranean Water eddy)と呼ばれる渦,つまり,ジブラルタル海峡から北大西洋に溢れだした高塩分で重い地中海水がイベリア半島側の大陸棚斜面に沿って沈み込んだ後,ポルトガル沖合で次々と切離することによって生まれ,地球のコリオリ力と圧力勾配のバランスによる時計回りの回転を伴いながら水深 1,000 m の深海を漂う渦,の形成・放出に寄与する主要因を数値シミュレーションにより明らかにし,その研究に明確な展望を与えたものであり高く評価されます.この論文等の内容の評価に加えて,相木氏の将来性を期待し,同氏に竜門賞が授与されることになりました.