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受賞論文および選考理由(2021年度) 

掲載日:2022年4月18日

受賞者

佐藤 允((工学院大学),岡田浩一(シーメンスPLMソフトウェア・コンピューテイショナル・ダイナミックス株式会社),浅田健吾(東京理科大学),青野 光(信州大学),野々村拓(東北大学),藤井孝藏(東京理科大学)

対象論文

Makoto Sato, Koichi Okada, Kengo Asada, Hikaru Aono, Taku Nonomura, Kozo Fujii,Unified mechanisms for separation control around airfoil using plasma actuator with burst actuation over Reynolds number range of 103–106, Physics of Fluids, Vol. 32, 025102 (2020)

選考理由

本論文は,翼回りのはく離抑制に対して,素早い応答性や省エネルギー性から実用性の高いマイクロデバイスと認知されている誘電体バリア放電(DBD)プラズマアクチュエータによる制御機構を精査している.我が国が誇るスーパーコンピュータ京を駆使することで,層流はく離から乱流はく離にわたる幅広いレイノルズ数域での高精度非定常数値解析を実行し,アクチュエータによる翼回りの境界層の発達過程や渦構造の変調への洞察を付与している.その中で,制御機構の重要な素過程がはく離せん断層の挙動にあることを突き止め,はく離境界層厚さに基づきアクチュエータの最適動作周波数を統一的に整理するとともに,その根拠を線形安定性解析により明示している.DBDプラズマアクチュエータによるはく離制御機構に注目し,著者らの研究グループにおいて現象の解明から制御機構の構築までを遂行していることが評価される.既往の関連研究への丁寧な調査とともに研究の位置づけを明確に示しており論文としての高い完成度も認められる.アクチュエータの最適動作周波数など,翼回りのはく離抑制機構に関する指針を提唱するものであり,高レイノルズ数条件下で運用される輸送機器の効率化など,流体工学分野に関する実社会への貢献も期待されるものである.