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受賞技術および選考理由(2007年度) 

掲載日:2008年9月24日

受賞者:

大塚雅生氏(代表者), 竹田康堅氏, 白市幸茂氏,飯田弘之氏, 吉川一也氏, 上原雄二氏(シャープ(株))

対象技術:

「エアコン上下両開きロングパネル方式気流制御技術」

選考理由:

対象となる技術は,シャープ社製の最近のエアコンに搭載されている「ロングパネル」と呼ばれる前面の大きなパネル全体を整流に用いたエアコン用のファンに関するものである.既に販売されて一年以上を経ており,店頭で目にすることができる.

この技術は,流体力学の知識を活用して生活機器の向上を目指す空調機器を製品化したものである.5年ほど前から開発に着手し,対象となるロングパネルの採用を最終目標に据え,その実現に向ってステップを踏んだ開発がなされてきた.ロングパネル自体は他社にない独創的なものであり,開発までの技術蓄積も評価できる.省エネや騒音軽減効果の数量的記述は社内の商品試験データに裏づけられたもので信頼性が高い.

航空工学の分野においては主翼設計をはじめ形状の改良がその性能に大きく関与することはよく知られたことであるが,エアコンのファン・ダクトの設計に,そういう考えを適用することは必ずしも一般的ではなかった.本技術の根幹は形状の工夫により複雑な機構も余分のエネルギーも使わず高い性能を得るという理想的な流体設計を目指して,長年にわたる努力で,それまでの既成概念を打ち破って流体力学的に最適な設計を実現されてきたという点が評価される.

本技術開発における対象の着眼と問題設定の適切さ,開発過程における流体力学に基づく技術の積上げによる性能向上の達成,市場売上げの上位をキープするなど,客観的に優れた技術であることが実地審査でも確認できたので,総合的に判断して本技術は技術賞に値するものと評価される.