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受賞技術および選考理由(2006年度) 

掲載日:2007年7月1日

受賞者

須賀一彦(大阪府立大学大学院 工学研究科機械系専攻 機械工学分野 教授)
Timothy J. Craft(マンチェスター大学 機械•航空宇宙•土木工学科 Senior Lecturer)
Brian E. Launder(マンチェスター大学機械•航空宇宙•土木工学科 教授)

受賞技術

歪と渦度に関する 3 次の非線形渦粘性モデルを用いたk-Eモデルの開発

選考理由

本技術は,k-e モデルに現れるレイノルズ応力項を歪と渦度に関する3 次の非線形項で表現することにより,従来の2 次の非線形項の表現によるよりも多様な流れに適用できる非線形 k-e モデルを開発したもので,その基本となる成果は候補者達の論文に発表されている(T. J. Craft, B.E. Launder and K. Suga: Development and application of a cubic eddy-viscosity model of turbulence, International Journal of Heat and Fluid Flow, 17, 108-115 (1996)).

レイノルズ応力方程式モデルにおける歪と渦度に関する3 次の非線形項の意義は従来から指摘されていたが,著者たちは上記論文においてこれを渦粘性モデルに導入して,自ら数値計算による検証を行い,その結果,旋回乱流など流線曲率のある流れなどへの適用性が大きく改善されることを明らかにした.さらに固体壁面近傍に適用する場合の改良を行い,実用性を高めた.このモデルは,その後,一部の定数の変更の後,市 販の汎用熱流体解析プログラムSTAR-CDにSUGAモデルとして組み込まれて実用に供され,現在世界的に高い信頼と評価を得ており,その工学的価値と産業界への貢献には非常に大きなものがある.このため,上記論文は,その学術的価値と相侯って非常に多くの引用数があり,客観的指標からも実用面における評価は十分得られていると考えられる.これらのことから,本モデルの開発によってもたらされた乱流解析技術の進展は流体力学技術賞にふさわしい業績であると評価される.