大成博文氏(徳山工業高等専門学校土木建築工学科 教授)
受賞者は,超高速で気液2相流体を旋回させて10μm前後のマイクロ気泡を発生するための旋回式微細気泡発生装置を開発した.この旋回式気泡発生法は,気液二相流の研究分野では以前から知られていた方法ではあるものの,受賞者は種々の分野に応用可能であるように発生装置を簡単化かつ小型化することに成功し国内外の特許を取得するとともに,ナノプラネット研究所を設立してこの旋回式微細気泡発生装置を商品化した.また,マイクロ気泡の発生時に現れる物理化学的効果を活かして水質浄化,水産養殖,美容健康促進など産業,環境,医療等の多方面にこの装置を適用することにより,マスコミにもしばしば取り上げられているように,極めて社会的インパクトの大きな実用的成果をあげている.ある経済研究所の推定によれば,マイクロバブル発生装置および応用製品の現在の市場規模は,それぞれ数億円と見積もられ,この点において受賞者は産業創出にも貢献している.これらの点を総合的に評価し,また,他学会での重複受賞についても理事会で議論を行ったうえで,本技術が日本流体力学会流体力学技術賞に値するものと判断するに至った.