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受賞技術および選考理由(2001年度) 

掲載日:2002年7月1日

受賞者

三宅 亮((株)日立製作所・機械技術研究所),榎 英雄(同左),森 貞雄(同左),
斉藤功治((株)日立製作所・計測器グループ)

対象技術

コンパクト水道水質計の開発

選考理由

受賞対象技術は,フローインジェクション方式の 2 液混合反応用のマイクロリアクターの開発,これとポンプ,配管系などの微小流体要素を集積した流体回路から構成される水質自動分析装置の製品化である.

マイクロミキサー・リアクター等化学反応用の微小な流体装置は,寸法効果による反応速度の桁レベルでの向上,および今までにない新しい化学プロセスの実現が期待される.三宅氏らは,この効果にいち早く着目し,現在,微量2液の混合反応に対して主流になりつつある2液分散型の混合反応方式を世界に先駆けて提案した(IEEE 0-7803-0957-2/ 93,pp.248-253(1993),IEEE 0-7803-3744-1/ 97,pp.102-107(1997),電気学会論文誌,Vol.117-E,pp.147-154(1997)).具体的には穴サイズ数 10 µmのマイクロノズル群を100 µm以下のピッチで,マトリックス状に数 100 個配列させ,このノズル群を通して試薬を,試料水に分散吐出させることで,迅速で斑のない均質・高精度な反応を誘導するもので,その混合特性を詳細に調べた.さらにその技術を応用した水質計を開発し,有用性を実証した.この技術により従来と同等の分析精度を持つ水質計を,体積比 1/128,A4 サイズで実現した.

マイクロミキサー・リアクターは,高速で均質な反応,高い制御性など多くの長所があり,化学分析装置にとどまらず,高付加価値の材料の製造など,将来の流体技術としてその発展がおおいに期待できる.本受賞対象は,これの突破口を開いたものと位置付けられ,技術の優位性,完成度は非常に高く評価できる.