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受賞技術および選考理由(2000年度) 

掲載日:2001年7月1日

受賞者

木村龍治(東京大学海洋研究所)

対象技術

大規模流体力学現象に対する実験室モデルの開発及びそれを用いた啓蒙活動

選考理由

木村教授の専門は大気海洋気象である.大気海洋の問題は自然現象であり,スケールに加えて諸条件が複雑に絡み合っているため,実際の現象をそのまま実験室で再現することは出来ない.そこで,簡単な実験装置を用いて自然界におけるさまざまな流れを室内で可視化して見せることで研究を進めた.スケールの縮小による大規模流れの特徴的なパターンの抽出,時間の短縮,条件の単純化を実験的に進める独創的な数々の手法を,創意と工夫を重ねて自らの手で開発し,新しい知見を得る実験技法を開拓された.それらは複雑な機構を有していない点,特に高価な資材・機材を使用していない点,原理原則を理解できる点,可視化手法により現象のイメージを明確にとらえられる点等により,教育的見地からの貢献も大きいものと思われる.

これら一連の技術は研究のみでなく,教育・啓蒙に対する木村教授の熱意から開発されたもので,論文ばかりでなく,解説としていくつもの学会誌に掲載されており,広く誰でもが利用できる.実際,これらの技術は,教育用のビデオやテレビ番組の製作,科学的な催しでの実演にしばしば用いられており,流体力学教育へ多大な貢献をされている.