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会長就任にあたって 

2026年度会長  鈴木雄二
2026年度会長
鈴木雄二

このたび,河原源太前会長(大阪大学)の後を引き継ぎ,2026年度の会長を拝命いたしました東京大学の鈴木雄二と申します.矢野猛副会長(大阪大学)をはじめ,2026年度の理事の皆様,各種委員会委員長及び委員の皆様とともに,微力ながら本会の発展に全力を尽くす所存ですので,皆様のご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます.

本会は1968 年に設立された流体力学懇談会を起源として,1982年に日本流体力学会と改称されました.その後,1993年に文部省から社団法人日本流体力学会の設立が認可され,2002年の数値流体力学会との融合を経て,2012年1月から一般社団法人日本流体力学会として認可されました.本会はこのように長い歴史を誇り,その間,諸先輩方の多大なるご尽力により,様々な特色ある取り組みが推進されてきました.

本会の主要な講演会としては,1969年に始まった「乱流シンポジウム」などを前身として1996年から開催されている「年会講演会」,および1987年から開催されている「数値流体力学シンポジウム」があります.これらの講演会は,毎年幅広い分野から500名規模の参加者を得て,活発な討論がなされています.また,支部においても,講演会,セミナーなどの活発な活動が行われているほか,毎年8月には,学生も含めた会員が比較的少人数で密に交流することのできる「流体若手夏の学校」が開かれています.

また,学会誌「ながれ」は,若手会員を中心とする編集委員会が企画する特集記事,連載記事や原著論文などを掲載する媒体として発展してきました.2016年からは「ながれ」の原著論文の査読がエディター制に移行し,より円滑な査読が行えるようになりました.2008年以降J-Stageへの登録が途絶えていましたが,編集委員会のご尽力により,近々再開する見込みです.会員の皆様には是非積極的にご投稿いただければと存じます.

英文論文誌Fluid Dynamics Research(FDR)は1986年に創刊され,40年以上の歴史を持っています. 現在の出版元はIOPP(英国物理学会出版部)であり,Imact factorは2020年以降1.0以上を保っています.河原前会長がEditor-in-Chiefを務め,海外研究者を含む3名のEditor,6名のAssociate Editorという体制です.Journal of Fluid Mechanics,Physics of FluidsやPhysical Review Fluidsに並ぶ,良質な論文のみが収録される国際学術誌ですので, FDRへのご投稿も是非お願いします.

本会が対象とする「流れ」は,1510年頃のレオナルド・ダヴィンチの渦のスケッチや18世紀初頭の尾形光琳による「紅白梅図屏風」を例に出すまでもなく,我々の極めて身近に存在し,見る人を引き込む美しさを持っています.一方で,その力学は極めて複雑な様相を呈し,基礎科学としても数学,物理学,生物学,天文学などに広がっています.また,航空工学,機械工学,土木・建築工学,船舶・海洋工学,化学工学,気象学,医学,農学をはじめとする応用分野とも直結する学問です.このような認識から,2021年に会員有志により取りまとめられた提言「Fluid Mechanics 2030」(FM2030)では,日本流体力学会が掲げるビジョンとして「力学を基盤とするハブ学会」が提案されました.流体力学を共通言語として,幅広い学問分野の方々が交流できる場を引き続き会員の皆さんに提供していきたいと思います.

なお,基礎的学問に立脚する本会ではありますが,社会との関連を長期的な視野で考えていくことは重要であり,産業界の会員をさらに増やす努力もしたい考えています.
本会の更なる発展のため,会員の方々の忌憚のない声を学会に届けて頂ければと存じます.1年間どうぞよろしくお願い申し上げます.