コンテンツの開始

受賞者および選考理由(2016年度)(1) 

受賞者

松浦 一雄(愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻)

対象業績

空力自励音の発振機構の解明とその無秩序化に関する研究

関連論文

(a) Kazuo Matsuura and Chisachi Kato, Large-Eddy Simulation of Compressible Transitional Flows in a Low-Pressure Turbine Cascade, AIAA Journal, Vol. 45, No. 2, pp. 442-457(2007).

(b) Kazuo Matsuura and Masami Nakano, A Throttling Mechanism Sustaining a Hole Tone Feedback System at Very Low Mach Numbers, Journal of Fluid Mechanics, Vol. 710, pp. 569-605(2012).

Kazuo Matsuura and Masami Nakano, Disorganization of a Hole Tone Feedback Loop by an Axisymmetric Obstacle on a Downstream End Plate, Journal of Fluid Mechanics, Vol. 757, pp. 908-942(2014).

選考理由

 幾何学的形状が複雑な流れ場では,低マッハ数流れであっても圧力を介した複雑なフィードバック機構が存在する.この種の流体力学的問題を取り扱うには,圧縮性を考慮に入れた高精度な数値解析の適用が有力な方法である.松浦一雄氏は,精密な圧縮性流れに関する数値シミュレーション手法を基盤として,圧縮性遷移翼列流れにおける音響的フィードバック機構やホールトーン・フィードバック系(円形のノズルあるいは穴から流出した噴流がノズルと同じ直径の穴が開いている下流に置かれた平板を通過する系)における自励発振機構等に明らかにし,さらには水素漏洩リスクマネジメントに卓越した流体力学数値シミュレーション技術を応用している.特に,ホールトーン・フィードバック系における自励発振機構に関する研究では,下流板の穴を通過する質量流量,渦衝突および大域的な圧力波伝播をタイミングも含めて相互に連動する機構として「軸対称スロットリング機構」という新たな自励発振機構を解明している.また,直接的あるいは間接的に乱せば効果が期待できるスロットリング機構に重要な特定部位を明確化し,下流板の穴の外側に軸対称突起を取り付けることにより音を低減する画期的なパッシブ制御法を提案し,その有効性を明らかにしている.この研究成果は,3編の代表論文のうち2編にまとめられている.このように,松浦氏は圧縮性流れに関する数値シミュレーション手法を基盤として幅広い分野に研究を展開できる若手研究者である.今後の流体力学の発展に大きな貢献が期待される.