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受賞者および選考理由(2014年度)(2) 

受賞者

田口 智清(電気通信大学大学院 情報理工学研究科 知能機械工学専攻)

対象業績

温度場を駆動源とする低圧/マイクロスケール気体流に関する分子運動論的研究

関連論文

(a) S. Taguchi, K. Aoki: “Rarefied gas flow around a sharp edge induced by a temperature field," J. Fluid Mech., Vol. 694, 191-224 (2012).

(b) S. Taguchi, P. Charrier: “Rarefied gas flow over an in-line array of circular cylinders," Phys. Fluids, Vol. 20, 067103-1-16 (2008).

(c) S. Taguchi: “Diffusion model for Knudsen-type compressor composed of periodic arrays of circular cylinders," Phys. Fluids, Vol. 22, 102001-1-20 (2010).

選考理由

 低圧気体においては常圧では観察されない現象が発生することがある.その代表例として温度場を駆動源とする流れが知られている.しかし,その解析方法は発展途上にあり現象には未解明な点も多い.たとえば,ラジオメーターの羽根の回転はよく知られているが,そのメカニズムは十分に説明されていなかった.田口氏は,ボルツマン方程式のBGKモデルを基盤とする精緻な数値シミュレーション手法を開発・拡張して,温度場に起因する流れの課題に取り組んでいる.その成果は3編の代表論文にまとめられている.まず,片面を一様に加熱した平板の周りの流れをシミュレートし,希薄性が高い場合の先端近傍の急激な変化や,平板に作用する力の分布を解析することにより,ラジオメーターの駆動機構の解明に成功した.つぎに,規則的に配置された円柱群の間を温度勾配または圧力勾配で駆動される希薄気体の流れを解析し,さらには多孔質を模擬した円柱群を有する流路の計算結果から均質化モデルの係数を導出するなど,マルチスケール問題に適用可能な手法を開発した.これらはクヌーセンポンプへの適用により,その有効性が実証されている.このように同氏は,高度に希薄な条件からクヌーセン数ゼロの極限まで整合し,マクロスケール流れ解析モデルに接続する方法を構築しており,その業績は選考委員会においても非常に高く評価された.基礎研究から工学的応用に対する展開を担う優れた若手研究者であり,今後の流体力学の研究に大きな貢献が期待される.